10月4日、パリロンシャン競馬場で行われた2026年の凱旋門賞では、日本から挑戦したメイショウタバルが14着、アドマイヤテラが11着という結果でした。欧州特有のタフな起伏と瞬発力の両立が改めて日本馬にとって高い壁だということが分かります。
目次
現地からの中継を観た

パリロンシャン競馬場で開催される凱旋門賞(G1・芝2400m)は、世界最高峰の平地競走で、日本の競馬界にとって半世紀以上も挑み続けているが「最高峰の壁」。
- 高低差10mの起伏:スタート後、向正面から3コーナーにかけてビル3階分に相当する急坂を駆け上がり、今度は長い下り坂を迎えます。
- タフな洋芝: 保水性が非常に高く、少しの雨でも日本の「重馬場」を遥かに凌ぐ泥炭のような深い馬場(タフな馬場)へと変貌します。2026年は例外的に秋晴れの軽い馬場(稍重)となりましたが、それでも欧州特有のパワーとスタミナが要求されます。
「逃げ馬」メイショウタバル

メイショウタバルは自分のリズムで気分良く走ってこそ強さを発揮するプレッシャーに敏感なタイプの馬だそうで、この日もハナを切って走った。
強豪相手に中途半端な競馬をして惨敗するよりも、「自分の形」を貫いて世界に挑んだ結果の14着 だという。決して作戦ミスではなく、「欧州の壁」なのでしょうね。
メイショウタバルとナカヤマフェスタ

同じステゴ一族でありながら、メイショウタバルとナカヤマフェスタは、競走馬としてのタイプが全く異なるそうです。
「戦法(脚質)」の違い
メイショウタバル(逃げ):自分のリズムで先頭を気持ちよく走ることで強さを発揮する純粋な「逃げ馬」。他の馬に揉まれたり、自分のペースを乱されたりすると脆い一面がある。
ナカヤマフェスタ(差し): 道中は中団でじっとしたふりをして、最後の直線で一気に鋭い脚を伸ばす「差し馬。2010年の凱旋門賞2着時も、中団から馬群を割るようにして伸びてきた。
「気性・勝負根性」の違い
メイショウタバル(繊細で不器用): 気性が非常に激しく、一度スイッチが入ってしまうと人間の指示を無視して暴荘走しまいがち。そのため「ハナを切るしか選択肢がない」という不器用な危うさを持っている。
ナカヤマフェスタ(闘争心と気性の荒さ):ナカヤマフェスタも別の意味で気性が荒く、猛烈な闘争心を持っていた。しかし、レースではタバルのように暴走するのではなく、他の馬と並びかけられた時に「絶対に負けない」という驚異的な勝負根性を発揮するタイプ。凱旋門賞の直線でワークフォースに並ばれた際、一度離されながらも、もう一度差し返そうとしたド根性は有名。
「馬体(体重)」の違い
メイショウタバル:500kgを超える大型馬
ナカヤマフェスタ:460kg台の比較的コンパクトな馬体
過去に凱旋門賞で5着以内に入った日本馬(エルコンドルパサー・ディープインパク・ナカヤマフェスタ・オルフェーヴル・スルーセブンシーズなど)は、すべて国内での馬体重が478kg以下という共通データがあります。
ナカヤマフェスタのような軽くてしなやかな馬体のほうが、ロンシャンのタフな馬場や高低差坂のある坂を効率よく走るのに向いていたのではないか、とも分析されています。タバルにとっては、その大きな身体が本番の過酷な負荷のなかでスタミナを余計に削る要因になった可能性があります。
あのゴールドシップの産駒ですから、場体が大きい。それにしても、父のゴールドシップと凱旋門賞で同じ14着というのも面白いです。
ドリームジャーニーが凱旋門賞で走らなかったのは

宝塚記念と有馬記念を制し、ステゴ系の礎を築いたドリームジャーニーが凱旋門賞に向かわなかった(走れなかった)最大の理由は、「極端な小柄さ」と「東京の2400m(左回り)を大の苦手としていたこと」にあったといいます。
全弟のオルフェーヴルやナカヤマフェスタが海外に挑戦する中、ドリームジャーニーが国内に専念した背景には、明確な適性と馬体の限界があったのでしょう。
420kg台という「極端な馬体の小ささ」
ドリームジャーニーは、G1を3勝した名馬としては異例なほど体が小さく、現役時代の馬体重は416kg〜430kg前後しかありませんでした(一般的な牡馬のオープンクラスは470kg〜500kg以上)。
凱旋門賞が開催されるフランスのパリロンシャン競馬場は、深い芝に加えてタフな「高低差約10メートルの上り下り」があります。
ナカヤマフェスタのような「軽くてしなやかな馬体」は活きますが、ジャーニーほどの極端な軽量馬だと、欧州の深い泥んこ馬場に脚をとられて全く進まなくなる、あるいは心肺機能の消耗が激しすぎると陣営(池江泰寿調教師)に判断されたそうです。
「夢の続き」は娘が果たした
ドリームジャーニーはフランスの地を踏めませんでしたが、種牡馬となった後、その血の適性は証明され、2023年、わずか数頭しかいない彼の産駒の中から、娘のスルーセブンシーズが父親そっくりのピッチ走法と小柄な体(440kg台)で凱旋門賞に挑戦し、世界一線級を相手に見事「4着」に大健闘しました。
全弟オルフェーヴルとの「走りの違い」

同じ父ステイゴールド、母オリエンタルアート(母父メジロマックイーン)という全く同じ血統の兄弟ですが、「馬体のサイズ」と「走法(フットワーク)」が決定的に異なっていました。
ドリームジャーニー(超ピッチ走法)
頭を低く下げ、前肢をかき込むようにして細かく足を回転させる「超ピッチ走法」でした。この走法は小回りコースのコーナリング(中山・阪神)や、一瞬の加速には抜群の威力を発揮しますが、完歩が短いため、広いコース(東京の左回りやロンシャン)の長い直線をトップスピードのまま維持して走り続けるのには不向きでした
オルフェーヴル(ピッチとストライドのハイブリッド)
兄より一回り大きい馬体(450〜460kg台)から繰り出される走法は、兄のような高いピッチ(足の回転数)を維持しながらも、一歩一歩が大きく伸びる「弾むようなストライド」を兼ね備えていました。
これによって、欧州のタフで重い芝を「ピッチ(パワー)で力強く捉え」つつ、ロンシャンの長い直線をスピードで押し切ることが可能になりました。この走法の柔軟性があったからこそ、2400mという距離でもスタミナをロスせず、2年連続で凱旋門賞2着(2012年、2013年)という偉業を成し遂げられたといいます。
オルフェーヴルは、メイショウタバルのような固定された「逃げ馬」でも、ナカヤマフェスタのような「差し馬」でもなく、すべての脚質を極限レベルでこなせる「究極の自在馬(オールラウンダー)」でした。
レース展開や自身の気分によって、どんな位置からでも勝てる規格外の怪物だったのです!!
3頭の比較
ステゴ系の代表的な3頭の脚質をシンプルにまとめると、以下のようになります。
| 馬名 | 主な脚質 | 特徴 |
|---|---|---|
| メイショウタバル | 逃げ | 自分のリズムでハナを叩いて押し切る快速型 |
| ナカヤマフェスタ | 差し | 馬群の中で死んだふりをし、直線でド根性を発揮する闘魂型 |
| オルフェーヴル | 自在 | 逃げ以外ならどこからでも、異次元の脚でねじ伏せる絶対王者型 |
オルフェーヴルは「どこから走っても世界一強い」という異次元のスケールを持っていたからこそ、どんな展開の凱旋門賞でも2年連続で2着という、日本馬最高峰の成績を残すことができたのですね。







