今年もPMFが始まりました。プログラムに惹かれチケットを入手しました。

206年7月12日(日)14:00開演
札幌コンサートホール kitara 大ホール
指揮:ライアン・バンクロフト
ヴァイオリン:ヤメン・サーディ
管弦楽:PMFオーケストラ
program
●シベリウス:交響詩「タピオラ」作品112
●ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調 作品77
第1楽章:ノクターン
第2楽章:スケルツォ
第3楽章:パッサカリア
第4楽章:ブルレスク
Intermission
●スラヴィンスキー:ペトルーシュカ(1947年版)
第1場 謝肉祭の広場
ロシア人の踊り
第2場 ペトルーシュカ
第3場 ムーア人
ワルツ
第4場 謝肉祭とペトルーシュカの死
乳母の踊り
熊を連れた農夫の踊り
行商人とジプシー娘たち
馬丁の踊り
仮装した人々
ムーア人とペトルーシュカの戦い
ペトルーシュカの死
警官の人形使い
ペトルーシュカの亡霊の出現
encore
●クライスラー:レチタチーヴォとスケルツォ・カプリース作品6
目次
ロビーコンサート

2階席へ行こうとしたら、突然の素敵なサプライズ、ロビーコンサートが始まりました。心が洗われるような素晴らしい時間で、移動の途中で足を止めてしまう優雅な雰囲気。ロビーコンサートならではの魅力でした。
シベリウス:交響詩「タピオラ」

タイトルにある「タピオラ」とは、フィンランドの民族叙事詩『カレワラ』に登場する森の神タピオ(Tapio)が支配する「森の国」を意味します。
シベリウス自身(ドイツ語訳版)による次のような詩が添えられていたそうです。
”広がるのは、北国の広大で古くから続く森。
そこには神秘的な夢と、深い幻想が息づいている。
森の偉大な神がそこに住み、
木々の精たちが暗闇の中で舞う。
シベリウス60歳の作品ですが、最後の作品となったことも有名です。シベリウスは91歳で亡くなる約30年間は「アイノラの沈黙」といわれています。この作品をPMFで聴けたのは嬉しかったです。
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲 第1番

20世紀に書かれた弦楽器のための協奏曲の中でも、最も深刻で、技術的・精神的にも最高峰の傑作なのだそうですが、私は本日初めて聴きました。相変わらず、ショスタコヴィチだなと思うのは「息が詰まるほどの重苦しさ」と「わざとらしい・狂気すら感じるおふざけ」の強烈な対照。
しかし、彼の彼の音楽における「おふざけ」は、単なる陽気なユーモアではなく、「そうでもしないと狂ってしまう」「絶望を隠すための必死の作り笑い」のような、歪んだ皮肉だといわれています。それが交互に現れて、この落差を見事に演奏されました。
イスラエル出身の若き天才ヴァイオリニストのヤメン・サーディさんの演奏が凄まじかった。息をのむような緊張感と、一音一音に込められた集中力は、生演奏で聴くと本当に鳥肌が立ちました。
演奏が終わると、場内から割れんばかりの拍手が鳴り響きました。そして、アンコールもまた凄まじいテクニックの嵐。壮絶な協奏曲の後に、アンコールでクライスラーの『レチタチーヴォとスケルツォ・カプリース』とは!ヴァイオリン1本だけでオーケストラでした。超絶技巧を目の当たりにしたお客さんは度肝を抜かれたことでしょう。私はP席だったので、彼の背中を見て聴き入りました。面白かったのは、最後の音を「はい、あなたどうぞ」と鳴らさせて終わったこ。これには会場全体で大笑い。いやぁ、素晴らし過ぎた!
ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ

ショスタコーヴィチのあの重厚で切迫した協奏曲の後に『ペトルーシュカ』が控えているプログラム。これを音響が素晴らしいキタラで聴きたかったのです。しかもP席最前列のど真ん中。指揮者のライアン・バンクロフロさんが目の前という席。オーケストラがすぐ近くて、この曲では、実に多くの楽器が登場するので、とにかく面白かった。
「ペトルーシュカ」とは、ロシアの伝統的な人形劇に登場する道化師の藁人形のことです。心を持ってしまった悲しき藁人形。ペトルーシュカはバレリーナに恋をしますが、振り向いてもらえず、彼女は逞しいムーア人に夢中になります。嫉妬と絶望に狂うペトルーシュカは、最後はムーア人に剣で斬られ、死んでしまいます。
魔術師は「これはただの藁人形ですよ」と死体を持ち上げますが、ラスト、劇場の屋根の上にペトルーシュカの亡霊が現れ、魔術師と人々にむかって「あっかんべー」をして姿を消すという、少しゾクッとする皮肉なエンディング。
「ペトルーシュカ」って、こんなにピアノが活躍するとはと驚かされました。そして、ピアノを打楽器のように使うオーケストレーションが素晴らしかった。
会場全体の一体感が素晴らしかった!

本日の演奏会が素晴らしかったのは、曲が終わっても暫く誰も拍手をしなかったので、余韻の美しさに浸れたことでした。こんな演奏会は滅多にありません。だから鳥肌が立った。演奏者の圧倒的な集中力と表現力、そしてそれを余すことなく受け止めた聴衆の質の高さが組み合わさったからこそ生まれた「奇跡の空間」でした。ブラボー!!









