小山実稚恵ピアノ・リサイタル「音の旅」

第14回~夜のしじまに~

2012年10月26日(金)
札幌コンサートホールkitara小ホール

プログラム

シューマン:森の情景 作品82

ラヴェル:「夜のギャスパール」

—————休憩———————

ショパン:ノクターン13番 ハ短調 作品48-1

ショパン:バラード第4番 ヘ短調 作品52

スクリャービン:ソナタ第9番「黒ミサ」 作品68

グラナドス:「ゴエスカス 」~恋するマホたち~より 第4曲「嘆き、またはマハと夜うぐいす」

シャブリエ:ブーレ・ファンタスク

【アンコール】
ショパン:ノクターン 第1番 作品9-1

スクリャービン:ノクターン 作品9-2(左手のための作品)

ショパン:ワルツ 第7番

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小山実稚恵さんの「音の旅」シリーズに出かけました。第1回目の「白」を聴いてから何回か聴いていますが、今回は 「黒」です。”夜のしじまに”と題されたこのプログラムを見て、好きな曲ばかりが並び、驚きました!ということは、私も夜の曲が好きなのでしょうね。欲を言うと、リストの「メフィスト・ワルツ第1番」が入っていればと思いました。この曲は、違う回で弾かれるようです。ステージの上には、黒の色彩をイメージした木にお花がコーディネートされていました。一際目立つ真っ赤な花が印象的で、ゾクッとしました。さて、今宵のコンサートの解説に小山実稚恵さんがステージに登場。黒のドレスが素敵でした。

プログラムは 、シューマンの「森の情景」から始まりました。全曲演奏ですと、結構なボリュームがあります。穏やかな曲で締めくくられると、後ろから「こんな難しい曲があったのね」と聞こえてきました。以前に発表会で取り上げた事がありますが、よくこれだけの作品を弾くメンバーが揃っていたものだと、私も感心してしまいました。続いて最も聴きたかったラヴェルの「夜のギャスパール」。”オンディーヌ”の美しく悲しい調べが会場を満たします。そして不気味な”絞首台”。第3曲の”スカルボ”では、もう心臓がバクバクしていました。この超難曲を演奏するのは勿論大変ですが、聴くのもまた難しいものだと思いました。曲がメロディアスではないと、よく分からないと思う人も多いようです。はじめさんと私はバクバクしながら聴き入っていましたが、隣の方は、ちょっとついていけないという感じでした。ラヴェルの作品で「鏡」より”道化師の朝の歌”を弾いた事がありますが、これも大変な難曲で必死に演奏しました。がしかし母と何人かの大人の生徒さんに「よく分からない」と言われてショックを受けた事を思い出しました。でも、やはり弾いてみたいと思う魅力がいっぱい詰まっている曲なのです。「スカルボ」はリストのメフィスト・ワルツが下敷きになっているそうですし。最初は小さな悪魔が会場を駆けまわっているようでしたが、次第に巨大な悪魔に変身していきます。バクバクが最高潮に達した時、悪魔はニヤッと笑って姿を消してしまいました。ラヴェルの美学なのだとか…。固唾を飲んで聴き入っていた はじめさんもホッと安堵したようなため息をついていました。

後半はショパンのノクターン第13番ハ短調。ノクターンというより、バラードのようで唯一ステージで弾いた事があるノクターンです。そしてバラード第4番。前半まで少し不安定な箇所がありましたが、後半からの盛り上げ、圧巻のコーダに持っていく小山さんは流石!と思いました。 次がスクリャービンの「黒ミサ」ですからね。本当に凄いプログラムです。一転して、グラナドスの「ゴイェスカス」から最も有名で美しい”嘆き、またはマハと夜うぐいす」。ん、正直なところ、この曲の出だしを聴いて、別の曲が演奏されたのかと思ってしまいました。それほど元気が良くて、私には”嘆き”には聴こえませんでした。ちょっとイメージが違うようでした。プログラムの最後はシャブリエの”ブーレ・ファンタスク”。初めて聴く曲でしたが、明るくお祭りのような曲調で、闇から完全に放たれたようなイメージを受けました。

アンコールは、お約束の3曲。 まず、ショパンのノクターン第1番が優雅に演奏されました。次に演奏された曲を聴いて、舘野先生の十八番なので、すぐにスクリャービンのノクターンだと分かりましたが、左手のための作品なのです。いやぁ、これにはかなり驚きました。器用と言ったら失礼ですが、左手だけでこれだけの演奏が出来るのは本当に素晴らしいと思いました。はじめさんも、びっくりした!と言っていました。最後はショパンのワルツ第7番を、アンコールならではの速いテンポで軽快に。そういえば、曲と曲の間であえず拍手を入れずに、シーンとした会場にちょっとびっくりしたのですが、かなりの方がこの「音の旅」に通っていらっしゃるのでしょうね。それだけ小山実稚恵さんの演奏が人気があって支持されているという事なのでしょう。7年目の折り返しということですが、これからも素敵な演奏をお届け下さい。

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