シベリウスの里を訪ねる旅/想い出のアルバム2

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1996年2月8日(木)は、終日自由行動となり、私たちはヘルシンキから約2時間のトゥルクへ行くことにしました。トゥルクはフィンランドで最も歴史の古い都市で、13世紀には商業の中心地として栄えたそうです。宿泊したソコスホテル バークナはヘルシンキ駅のまん前で便利でしたが、どうやって切符を買って良いのか分からず、行きは添乗員さんに駅まで付き合って頂きました。フラットな大きい駅で階段の上り下りは無いのです。ホームで列車を待っていると、ハイテクなカッコイイ特急列車が入ってきました。タラップが自動で降りてくるのには驚きました。これは持っている切符では行けそうにありません。フィンランド語は話せませんが、英語は通じるということで、はじめさんが片言の英語で駅員さんに聞いてみました。切符の差額分を支払えばOKということでした。中は飛行機のようでした。TV画面に女性が映り「次の駅はエスポー」と教えてくれました。

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トゥルクに着いて「ルオスタリマキ手芸工芸博物館」へ行くために初めて2人でタクシーに乗りました。片言の英語が通じなかったので、はじめさんがガイドブックを見せると、分かったと言ってくれました。ここは1827年のトゥルク大火災から免れて残った街の一面を博物館として当時の手芸工芸品を展示しています。左の写真の女性が案内してくれました。右は保存食用のパンです。はじめさんは、これを見て「パン食い競走」の事を一生懸命に片言の英語で伝えていましたが、たぶん伝わらなかったように思います。(^^;

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博物館は見ごたえがありました。トゥルクの街を歩いてみようということになりましたが、寒い寒い。ヘルシンキはあまり雪はありませんが、トゥルクは北海道のように雪が多かったです。「コフ」の写真の前でまたビールが飲みたくなっている はじめさん。橋の前でイギリス人に写真を撮ってと声をかけられました。その後に撮ってもらったツーショット。

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北欧最大のハンサ屋内ショッピングセンターにやってきました。お腹が空きましたが、さてどこで何を食べたら良いのか困っていると、手頃なハンバーガーやさんを発見してホッとしているところ。食後に、たくさんお店があったので見てまわりました。絵葉書をお土産に買ったところ、「Can you speak English?」と店員さんに訪ねられ思い切り「はい!」と答えてしまった私です。はじめさんは大笑いしていました。この後、トゥルクの駅まで歩いて帰り、ヘルシンキまで普通車に乗って無事にホテルまで帰れました。異国を2人だけで列車に乗って冒険したのは初めてでドキドキしましたが、面白かったです。

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シベリウスの里を訪ねる旅/想い出のアルバム1

アルバムを整理していたら、フィンランド旅行した時のが出てきたので、まとめてみようと思う。デジカメなど無い時代だったから、今のようには撮っていなかったけれど、10冊出てきました。

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新婚旅行でアメリカへ行こうとしたら結婚式の3週間前に膝を手術してキャンセル。家を建てて落ち着いた頃にもう一度申し込んだのだが、「舘野 泉コンサートとシベリウスの里を訪ねる旅」という旅行がある事を知り、2回もアメリカ旅行をキャンセルしてフィンランドへ行く事になった。名目は新婚旅行。1996年2月6日に出発。日本から約10時間で着くという近いような遠いようなフィンランドである。私は学生の時に2週間のヨーロッパ旅行をした事があるが、はじめさんは初めての海外旅行だった。飛行機の中で飲んだフィンランドのビール「コフ」が格別に美味しくて、私たちは歓喜した。

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翌日の2月7日は舘野先生のおすすめのレストランで夕食。タイ料理のお店だった。なんと先生の隣の席になり照れまくりの私だったが、ちょうど先生が監修されている「スオミ・ピアノ・スクール」の事などお話することが出来ました。出版社の廃業で今後どうなるのかと心配でしたが、先生に「5月頃にヤマハから出版されるよ」とお聞きしました。そして、是非、元祖であるフィンランドの「スオミ・ピアノ・スクール」を購入するように勧められて全4巻を日本に持ち帰ったのです。日本のとは紙質が全然違い立派でしたが、とても重たかった。それからフィンランドの民族楽器「カンテレ」も。こちらは船便で後日届いた。先生は9日にフィンランディアホールでのコンサートを控えていらしたが、練習中に私たちのために参加してくださった。それにしても食欲旺盛の先生にびっくり。圧倒されました。それほどエネルギーが必要なのでしょう。辛いものが好きな人には是非ということで、先生、ご子息のヤンネ、はじめさんと私の4人は「トムヤンクン」をオーダー。これが本当に辛くて、4人で汗だくになりながら頂きました。とても美味しかったです。先生は帰ったらまた練習があるので少しだけビールを飲まれました。あぁ緊張した、でも嬉しかったなぁ。 後日、お伺いする先生のお宅まで皆と良い気分で歩きました。

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機会があれば飲んでいたフィンランドのビール「コフ」。宣伝のお馬さんが可愛かった。右はシベリウス公園。フィンランドの大作曲家シベリウスの顔がどかんと鎮座しています。

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滞在中は「ポロ」と呼ばれているトナカイのお肉をよく食べました。市場にはチーズがこれでもかという程色々なのがありました。右はあちらこちらで見かけたキャンディーを売っているお店。妖しい味のグミなど買いました。実は参加人数が少ないため中止になるかも知れないと言われたツアーでしたが無事に行く事ができました。そのかわり、翌日の8日は終日自由行動。2人でドキドキの大冒険の旅をしました。レポートは次回。

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ブッキー 奇形に生まれたプラティ

DSC_3189-2昨年の今頃、産卵箱の中で生まれたプラティの稚魚の中に奇形の子が居た。背骨が曲がっているため横を向いている状態で、死んでいるように見えた。時々トントンとノックすると、起きるようになった。このように生まれた子は、間もなく死んでしまったけれど、ブッキーは逞しく育った。我が家のミッキーマウス・プラティは、レッドバックなのに、ブッキーはホワイトミッキーマウスなのだ。

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左は4月1日に撮影したもの。中央の上の方にブッキーが泳いでいる。他のプラティと違って長い時間は泳げない。ご飯の時に必死になって泳ぐのだ。右は先日撮影したもの。泳ぎ疲れたら、この場所でご飯が舞って来るのを捕らえているようだ。自然界では、もっと大変だと思うが、我が家の60センチ水槽の中でも生き抜くのは大変な事だと思う。お腹が満足したら、アイビーの葉の上で休んでいる事が多い。

R0016621ブッキーの子かどうかは、わからないけれどブッキーとそっくりな子が2匹と、ミッキーマークの無い、真っ白なプラティが1匹居る。レッドバックの中では、けっこう目立つ存在だ。既にブッキーより大きい。フィンの形も丸い子やヨットの帆のような子と、それぞれに個性があって面白い。昨年の今頃は数匹だけだったが、今はちょっと多いくらい。ただサイズの小さい子が多い。長老のハイフィン・レッドバックの「ライオン」は身体が大きくカリスマ的な存在で悠々と泳いでいる。

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それぞれの道

6歳の時から教室に入って、高校3年の今日まで休むことなく続けてきた生徒さんが学業に専念するために一旦教室を離れる事になった。幼稚園の時から、将来は幼稚園の先生になりたいと言い続けてきたのだけれど、少子化の時代に幼稚園先生になるのは将来的に厳しいと判断して、看護師の道を選択した。しかし、この道も競争率が高いようだ。ピアノは生涯続けたいという彼女。いつかまた再開できる日がくるまで頑張って欲しい。レッスンバックは、入った時から持ってきていたキティちゃんバック。高校生になった時、お母さまにはもう代えたらと言われたそうだが、このバックを大切に持ってきていた。まだまだ使えそうな感じだ。またキティちゃんバックを持って通う彼女に再会したい。

ユジャ・ワンのチケット発売日の日、かなり時間が経過してから残りの座席を調べたが、もう良い席は残っていなかった。はじめさんには飛行機代をかけて行く席ではないし、3月の上旬はまだ雪が降る可能性があるので家を空けない方が良いという事になり断念した。半年前の母は、ボウリング大会に出ていたほど元気だったけれど、気がつかないうちに背骨を骨折してから、ちょっと元気がなくなった。といっても、愛車で近場には出かけているし、先日は友達と旅行にも出かけた。重いものは持てないので、雪かきは無理。冬場は家を空けることは出来なくなる。私が膝が悪いのもあって、雪かきは良い運動になると言って率先してやっていた。ご近所では、そういう事情は知らないので年寄りに雪かきをさせてと思っているかも知れない。(^^; はじめさん一人では到底無理な量の雪なので、今年からサポーターをして手伝いたいと思う。雪かきをすると、しばらくピアノを弾けなくなるので、なるべく降らないで欲しいように願っている。でも、降るんだろうなぁ…

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pで演奏するのは難しい

f(フォルテ)で弾くより、p(ピアノ)で弾く方が技術的に難しいと思いますが、幅のある演奏が出来るのは魅力がありますね。
「こんな簡単な曲でいいのかなと思った」と言った生徒さんに、違う曲を選んだところ、どうだったと聞くと「難しい」と答えました。1回目のレッスンでしたが、大体の感じは掴んで弾いているので、大分レヴェルが上がったなと思いました。もう1曲のショパンは、びっくりする程、柔らかい音で丁寧に弾くので、これは更に上を目指せるなと嬉しく思いました。きっかけは、ピアノを購入したことで、思い切りピアノの練習が出来るようになった事だと思います。それによって、難しさにも直面しますが、ピアノが好きだという気持ちが、壁を乗り越える原動力になっているようです。
続かない生徒さんは電子ピアノで練習している事が多いです。もちろん、電子ピアノで上手に練習してくる生徒さんも居ますが、全然違うもので練習するのは、難しいと思います。一番難しいのはpで演奏する事ではないでしょうか。強弱をつけようと頑張って練習しても、弱い音がコントロール出来なくて悩んでいる生徒さんが居ます。次にペダル。これも電子ピアノだと、かなりアバウトになると思います。レッスンでやった事を、どれだけイメージして家で練習できるかという事ですね。

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突然すきやきが食べたくなった

DSC_5470昨夜、突然すきやきが食べたいモードになり、南樽市場へ行ってきました。せっかく来たのですから、お肉以外のお買い物もしました。まず、最初にこのお魚屋さんでサーモンをゲット。とっても肉厚なサーモンが5切れで1,050円。お店の人も「安過ぎる」と言っていました。焼き豆腐、しらたき、くずきり、ネギ、大根菜、しいたけ、牛肉500グラム。ウィンナーや、生ラムも、おつまみにピリ辛かまぼこもゲット。
実は、子供の頃は「すきやき」が大嫌いでした。それは食べ方に問題があり、子供が好む味ではなかったのと、父親が好んだ脂身の多い豚肉が原因でした。「今日はすきやき」と言えば、はじめさんはご馳走の日だったそうですが、弟と私は「きらいやきか…」と言って暗くなったのを覚えています。はじめさんが北海道に来てから、「すきやきに豚肉はありえない!」と抗議して!?味付けも好みになり大人になってから、すきやきって美味しいなぁと思うようになりました。今は、年に一度の贅沢。鍋が食べたい季節になったという事ですね。

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ウィングベイで、はじめさんの発表会の衣装を購入した時に福引でボウリングの券が2枚当たりました。今月いっぱいの期限だったので、久しぶりに投げました。3月にぶんぶんクラブのボウリング大会に出て以来でしたが、運動不足を痛感しました。はじめさんはマイボールで投げましたが、私は10ポンドのハウスボール。指がブカブカでアプローチも悪く、コワゴワの投球。3ゲーム目で、はじめさんに50ピン差をつけて勝ちました。(^-^)

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舘野 泉ピアノ・リサイタル2010

2010年10月22日(金) 午後7時開演
場所:札幌コンサートホール Kitara小ホール
ピアノ:舘野 泉/ヴァイオリン:ヤンネ舘野/チェロ:舘野英司/コントラバス:藤澤光雄/フルート:阿部博光/クラリネット:渡部大三郎/トランペット:福田善亮/打楽器:武藤厚志

演奏生活50周年記念おめでとうございます。2001年の40周年記念の翌年に先生が倒れられ脳溢血で右半身不随。左手のピアニストとしてステージに復帰されて早6年半なのですね。パンフレットの中に作曲家の間宮芳生さんが「病に倒れ、長い斗病のあと、左手のピアニストとして復活以来の、演奏への取り組みのすごい情熱と元気は、どこから来るのだろう。」と語っていらっしゃいます。今回のプログラムは、新聞にも掲載された末吉保雄さんの《アイヌ断章》。吉松 隆さんの組曲「優しき玩具たち」があります。どちらも世界初演で、札幌公演はその初日ということで、私たちは最初に聴いた聴衆ということになります。

プログラムは、先生にとって命のような曲であるという間宮芳生さんの《風のしるし・オフェルトルウム》から。”風の神の小指から吹き出すつむじ風のイメー”という事で、透明な音に目をつぶって聴き入りました。終曲はフィンランドの古い民謡で、はじめも終わりもなく旋回するようなシャコンヌ。先生の魂は演奏の世界にあり、演奏が終わったときに舞い戻ってくるかのようです。時折、はるか彼方の方へ行ってしまわれ、なかなか戻られないように感じる事さえあります。続いて、末吉保雄さんの4重奏曲「アイヌ断章」。フルート、コントラバス、打楽器が入ってステージが賑やかな感じになりました。作曲の末吉氏の指揮で「銀の滴降る降るまわりに、金の滴降る降るまわりに」から厳かに始まりました。「トーロロ ハンロク ハンロク!」と鳴く蛙の声、びっくりするような打楽器の音では「侵入者」たちがアイヌの地に入り込んでくる恐怖が伝わってきました。コロポックル(伝説)も折り込まれ、演奏活動50周年を記念する大学の同級生である先生へのお祝いは大成功!演奏が終わった先生のお顔を拝見して、「感無量とは、まさにこういう事を言うのだなぁ」と思いました。
休憩時間に舘野先生のエッセイ「ピアニストの時間」と、EMIレコーディングス・コンプリートBOXより先生ご自身が選ばれた「セルフ・セレクション」、そして左手のためのピアノ作品集を購入しました。月刊ショパンの11月号に先生の記事が載っていて知っていましたが、CD24枚組みというのは凄いですね。楽譜の方はスクリャービンの「ノクターン」が大好きですが、楽譜を見て、これを左手だけで演奏するのは至難の技!両手で弾いても難しい曲だと思います。
後半は、アコーディオン奏者Cobaさんの《記憶樹》から。記憶樹は、人の感覚と繋がっている生命体だろうと書いてあります。躍動的なリズム、強烈な和音など、「深遠な予感」から「根源的な回想」まで全10曲演奏するには、相当なパワーが必要だと思います。しかし、その情熱的な演奏を聴いていると、左手だけで弾いているというのを忘れてしまうくらい圧倒的で、隣で聴いていた はじめさんも感嘆の溜息をついていました。プログラムの最後は吉松 隆さんの「優しき玩具たち」。この作品は左手ピアノ、クラリネット、トランペット、ヴァイオリン、チェロが登場します。ご子息のヤンネと弟さんの英司さんと共演できたら嬉しいとの先生のお願いに、吉松さんは「いくらなんでもそれは無理!」と思ったそうですが、書いちゃうところが凄いというか素晴らしいです。曲は「展覧会の絵」風にプロムナードに続く7つの小品。甘美なメロディーが会場を満たし一気に吉松ワールドに誘われました。先生とヤンネの演奏は、函館の五島軒でのディナーコンサート以来。あれから何年の時が経ったのでしょう。懐かしかったです。英司氏の暖かいチェロの音にも、うっとりしました。クラリネットは女性でしたが、パンフレットの名前は渡部大三郎さんですから、代役だったのでしょうね。元気な奏者だったので紹介して頂きたかったなぁと思いました。世界初演の初日ということで、皆さんちょっと緊張気味でしたが、素敵な演奏、そして作品でした。アンコールは全員が登場して、吉松 隆さんの編曲によるシベリウスの「カレリア行進曲」。とても楽しい演奏で、帰りの車の中でも聴いて帰りました。
74歳にして多忙を極める舘野先生ですが、その忙しささえも楽しんでいらっしゃるところが器が大きいなと思います。これからもお元気で演奏生活60周年に向けて更なるご活躍を!

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僧衣をまとったメフィスト

年老いたリストを指して言った有名な言葉。聖なるものと世俗的なものが同居するという意味なのだろう。ショパンと1歳しか違わないリストだが、ショパンは39歳で亡くなったのに対し、リストは75歳まで長生きした。その生涯に1,400曲以上もの作品を書いたのだという。しかし、実際に知られているのは200曲にも満たないのではないかとも。他の作曲家と違うのは、オリジナルの他に編曲ものが桁違いに多いこと。オペラ、オーケストラ、歌曲などリストの手にかかると何でもピアノ譜になってしまうのだから凄い。印象派のドビュッシーや、ラヴェルにも多大な影響を与え、音楽史上最も早く調性から離脱しようともした作曲家。メフィスト・ワルツの第4ワルツとして書かれた「調性の無いバガテル」(後に第4ワルツは別に書かれた)は、音楽史上最も古い無調の曲で、シェーンベルクの編み出した12音技法とは違う独自の旋法だったようだ。リストが亡くなって70年も経った1956年にメフィスト・ワルツ第4ワルツと共に発見されたという。よく耳にする作品だが、そういう経緯がある事は知らなかった。野本さんの解説文を読んで「悪魔の音程」なるものを知った。「調性の無いバガテル」の冒頭で使われているのは、BからFの減5度。3つの全音が「悪魔の音程」、”トリトヌス”。異名同音の増4度も同じ。リストは「私は調性を抹殺したい」と、音楽史上初めて「調が無い」ことを宣言した。後にバルトークやスクリャービンらによって道が究められていくというのだから、リストの存在は、やはり凄い。

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Mephisto-Walzer / Liszt

メフィスト・ワルツ第1番「村の居酒屋での踊り」が有名だけれど、リストはメフィスト・ワルツを4曲書いている。他に第4ワルツとして書かれた「調性の無いバガテル」、「メフィスト・ポルカ」という作品があり、第1ワルツの20年後、最晩年に「メフィスト」と名の付く作品を5曲書いたのだそうだ。これらの作品を聴く機会は滅多に無いのだけれど、この作品を全て録音しているのがカツァリスで、CDは随分前から持っていた。何度となく聴いては凄いなと思うばかり。今日、楽譜を4冊入手した。第1番だけのは、SCHOTT社(1,050円)、ヘンレ版(2,205円)、全音楽譜出版社(1,260円)は、野本由紀夫さんの解説が素晴らしく勉強になる。ムジカ・ブダペスト版(4,515円)は、全部の作品が載っていて、楽譜を見ながらCDを聴く事が出来た。カツァリスのCDの解説も野本由紀夫さんによるもので面白い。その野本さんがカツァリスの演奏は大変おもしろいと、おっしゃっている。なるほど、楽譜を手にカツァリスの演奏をじっくり聴くと、その素晴らしさ「読みの深さ」に驚嘆する。「メフィスト・ポルカ」では、リストの作品によく出てくる”ossia”(演奏者が好きな方で弾けるように)を右手で弾いて、本来の部分を左手で全部弾いているのです!それにしても、この曲を最初に聴いた時、「かえるの合唱」?!かと思いました。とても不思議で面白い作品です。

「メフィスト」は、リストが生涯好んで取り上げた題材とのことです。19歳の時にベルリオーズにゲーテの「ファウスト」を読むように勧められて以来、この題材に興味を持ち続け、46歳で「ファウスト交響曲」を書いているのですね。その後に着手したのが、レーナウによる「メフィスト・ワルツ」。これが有名な「村の居酒屋での踊り」で、その他の5曲はレーナウとは関係ないとのこと。

函館旅行の時に、はじめさんが「メフィスト・ワルツ」ばかり入っているもの作って、聴きながら走ったのだが、奇妙な事ばかり起きた。一番怖かったのは、夜、恵山へと向かう時だった。道路に黒い大きな猫が死んでいた。わっ!と思ったすぐその後に髪の真っ白な老婆が道にうずくまっていたのだ…。これ以上聴いていては、命が危ないから止めておこうと言って、ショスタコに切り替えた。何かを吹き飛ばしたい時はショスタコの5番と決めています。はじめさんは、忘れ物を2度もして家に戻ったのも「実はメフィストのせいだ!」と言っていますが、それは違うと思いますよ。(^^;

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Das Lebewohl 「告別」ソナタ

昨日、今日と久しぶりのグループレッスンだった。遠方組の小学生は学芸会があるため来週行う予定。今年度の勉強は、ベートーヴェンのピアノソナタ第26番「告別」と、ショパンのバラード第4番、はじめさんとのコンチェルト、来年度に向けての新曲の譜読み。これに基礎練習を入れると、あっという間に一日が過ぎてしまう。

ベートーヴェン自身が楽曲に標題を与えることは少なく、32曲のうち「告別」と第8番「悲愴」だけ。序奏の最初の3つの音 G,F,Esにle be wohl(さようなら)と歌詞が書いてある。当時、出版社は「Les Adieux Sonata」とフランス語で勝手にタイトルを付け、ベートーヴェンは手紙で抗議したという。「lebewolh」は、心から愛する人にだけ使う言葉であり、「les adieux」は、集まった聴衆全体に述べる言葉で全く違うものだと。この曲に、ベートーヴェンはどれだけルドルフ大公への想いを込めて書いたのか。

「lebewolh」は、もう会えないかも知れないという切なく悲しい言葉だと思う。第3楽章の「再会」は演奏するのは大変だけれど、第1、第2楽章は表現の難しい曲だと思う。第1楽章の序奏はAdagioで重々しいけれど、すぐ変ホ長調のAllegroになるのだ。また会える日が来るだろうという希望が感じられるような明るさ。最後は動機が執拗に繰り返され標題の「告別」を訴えているようだ。「不在」と付けられた第2楽章はハ短調。ハ短調って悲劇的な暗さは感じない。むしろ劇的な調性だと思う。それにト長調の明るさが加わり、第3楽章の「再会」へと休み無く続くのにも意味があるのだと思う。終楽章は大変ピアニスティックで、ベートーヴェンがいかにピアノの腕が達者だったのかと思い知らされる。

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