ピアノ休みの日 / 左手の弱さを実感

リハーサルまで暗譜で弾いていた熱情ソナタだが、昨日、会場入りしてピアノを試弾したところ、昨年よりも難しいと感じた。何者かが会館のピアノの中央だけ新しいハンマーに勝手に替えたので、調律も苦労するし、それを知っていて弾くのは難儀だ。

高音部が汚く、低音部はよく響く、中央は音が響かない

調律のSさんが、何十年も会館のピアノを調律した記録を書いているのに、他の人が調律した記録が一切ないこと。これに強く会館に抗議し続けたところ、昨日になってこれまでのSさんの調律の記録と他2名のが書かれたカードを管理人さんから私に渡されて驚いた。しかし、誰が勝手に中央部分だけ新しいハンマーに替えたかを会館側は一切あかさない。

熱情ソナタは第2楽章もけっこう難しい。特に32分音符になる箇所でコケると、続く第3楽章に大きく影響する。家のピアノでは気が付かなかったが、会館のピアノで左手の弱さを実感した。真っ青になった。大いに迷ったが昼食を摂ってから、はじめさんに楽譜を置いて弾くことを決断した。

ミスは最小限に、そして止まらないこと

昼食後に楽譜を置いて、はじめさんに聴いてもらうと左手の入りが少し早いから、そこで弾き難くなることを指摘された。長丁場の最後の最後に弾くのは、どれだけ経験しても物凄いプレッシャーだ。熱情ソナタは音域がとても広いので、会館のピアノで弾くのは難儀だった。

いよいよ自分の番となり、意を決してステージに出ていく。自分が書いた原稿を忙し過ぎる看護師長さんが読んでくれた。「ベートーヴェンは死ぬのではなく、音楽と共に生きることを決意した」このフレーズに励まされた。そして、とにかく自分の音を聴いて、一音一音丁寧に弾くことだけを思った。

熱情ソナタの後、4年間ピアノソナタを書かなかった

はじめさんは「譜めくり」が上手いのに、なんと最後のコーダ部分で何故かめくらない。もうプレストに突入するというのに。暗譜はしているが、スコアを置いている以上、きちんと譜めくりされないのは気持ち悪い。怒りが炸裂して「早く!」と怒鳴って、プレストに突入した。

此処で崩れたら、何もかもが台無しになるので一番怖い箇所だ。しかし、怒り炸裂が思いがけず良い方向に繋がって最後まで一気に弾き切った。何しろ中央部が鳴らない上に、この小さい手でどうしたら響かせられるのか。それはもう気合しかないのだ。それにしても、覚悟の要る曲だ。ベートーヴェンは熱情ソナタを書き上げてからピアノソナタには4年のあいだ手をつけなかったという。

嬉しい事と残念に思ったこと

夕方、2回ピンポンが鳴った。最初は大人の生徒さんで、とても高級なスパークリングワインを戴いてしまった。でも、せっかくなので今晩飲もうと思います。打ち上げ第2弾です。ありがとうございます。

残念に思ったことは、体験レッスンを受けてやる気満々だった小5のお子さんに、お父さんから習い始めたら中学へ行っても続けることと言われた、その一言に心が折れたということ。中学生になったら続けられるかどうかを正直に「分からない」と答えたら、それがいけなかったようです。お母さんが励ましても、すっかり心が折れてしまったようで可哀想だなと思いました。何年生で始めたってイイじゃないですか。でも、体験レッスンを受ける前にお父さんに相談しなかったのが原因なのかもと思いました。

 

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