ブルーノ=レオナルド・ゲルバー ピアノリサイタル

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9月27日(火)

場所:札幌コンサートホール Kitara 大ホール
ピアノ:ブルーノ=レオナルド・ゲルバー

午後からゲルバーを聴きに、一人でJRで札幌へ出るので早目のガーデンランチ。はじめさんに何を弾くの?と聞かれました。「月光」と「熱情」、「展覧会の絵」とスラスラ答えられたのは、印象に残るチラシが頭にあったからなのかも知れません。「ベートーヴェン弾きなんだね」と、はじめさん。そう、世界的に有名なベートーヴェン弾きなので楽しみにしていました。ゲルバーを聴いたのは、キタラが出来る前。厚生年金会館で聴きましたが、足を引きずっていたのを覚えています。

早目にロビーに到着。開場時間になっても「リハーサルが長引いているので、暫くお待ち下さい」とアナウンスがあり、開演時間になっても、なかなか始まらないのは、キタラでは珍しい事。ゲルバーは幼い時に小児麻痺を患って左足に障害があるというのを隣の席の方が相方に話しているのが聞こえました。次第に「何かあったのか?」と、会場は不安な空気に包まれました。それにしても、後ろのおばちゃんたちがうるさすぎ。時間に始まらないのと、うるさいのとで、私はちょっと機嫌が悪くなりました。約10分の遅れで、会場が暗くなり、どうやら始まるようです。

プログラムの前半はベートーヴェンのピアノソナタ「月光」と「熱情」。有名なソナタばかりのAプロは、これに「悲愴」と「ワルトシュタイン」で、札幌はBプロ。ようやくステージに現れたゲルバーは、想像を絶するほどの巨漢になっていて、付き添いの人無しではステージに出てこられないようです。まず、びっくりでした。足が悪いのと大き過ぎる身体でピアノを弾けるのだろうかと心配になってきましたが、厳かに月光の第1楽章が始まりました。巨匠ならではの深淵な響き、表現に引き込まれます。軽快でチャーミングな第2楽章、そして激しい第3楽章…え?控え目なテンポ、なんだかのっそりとした、気迫が全く感じられない演奏が、長々と続き、次第に眠たくなってしまったのです。こんな事って?疲れてもいないのに。肩透かしを食らった「月光」でしたが、今度は大好きな「熱情」。絶対、眠くなるはずが無いと思いきや、これも肩透かし。リハーサルが長引いたり、開演時間が遅れたり、ゲルバーは体調でも悪かったのでしょうか?それでも、演奏後にブラボー!と叫ぶ人が何人も居ました。私には、どこがブラボーなのかさっぱり分からない演奏でした。あまりの肩透かしに、休憩時間に一人でビールを飲みました。後半は「展覧会の絵」。この調子で演奏が続いたら終電に間に合うのだろうかと、ちょっと帰りたい気分でしたが、何ヶ月も前からチケットを用意していたのです。後半に期待してみましょう。

ゲルバーは1941年生まれ、アルゼンチンのピアニストで、アルゲリッチやバレンボイムの恩師でもあると言います。知りませんでした。(^^; 今年70歳のゲルバーは、身体は随分大きくなりましたが、顔はそのままで笑顔が可愛らしいと言ったら失礼ですが、舞台でゲルバーがニッコリと笑い、お辞儀をすると会場から大きな拍手が送られました。

後半です。ムソルグスキーの「展覧会の絵」。オーケストラを思うような分厚い音で始まりました。会場の誰もがおぉっ!と思ったに違いない冒頭でした。が、この後、一瞬の迷いを感じました。そして、2曲目が終わって唐突にゲルバーが何かを言い放ったのです。「I want~」、までしか聞き取れなかったのですが、一体何だったのでしょうか。唖然としていると、ここから明らかに音楽が変わって行きました。あれほど眠たいベートーヴェンを演奏したかと思えば、今度は凄まじい程の轟くような音を鳴らして、渾身の演奏に変わって、あっという間に終わってしまいました。もしかすると、ゲルバーは自身に気合を入れるために言い放ったのでしょうか。「本当の私はこうなのだ!」と。いやぁびっくり!70歳のゲルバーが限界まで挑んだような「展覧会の絵」に感動しました。そして、こんな壮大な曲を書いたのに無名で亡くなったムソルグスキー。改めて天才だなぁと思います。

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